こんにちは、フィリピン在住フリーランスのchieです。
今年3月末に新居に引っ越したんですが、その後、前のアパートから「テレビに傷があるんですが」と問い合わせがあり、結果として賃貸トラブルに発展してしまいました。。
それで、そのテレビの傷の原因がちょっと意外なもので、日本語ではほとんど情報が見つからなかったので、この記事で経緯と一緒にシェアしたいと思います。
あわせて、こういったトラブルはどうすれば回避できるのかも考察してみます。
経緯1.テレビに謎のこすり傷のようなものを発見
私と同居人彼氏が前のアパートの部屋に住み始めたのは2019年の9月でした。
で、彼氏は住み始めてすぐにテレビの表面にこすり傷のようなものが付いているのを発見したそうです。
「そうです」というのは、私は当時そのテレビの傷には全く気がついていなかったからです^^;
彼氏曰く、そのとき私にも「なんか傷ついてるね」と声を掛けたそうなんですが、その記憶も全くないという。。申し訳ない。。
彼氏はガジェット好きなので、もしかしたら普通の人よりそういったものに気付きやすいのかもしれません。
ちなみに私もその後どこかのタイミングでその傷に気づいたんですが、それがどのタイミングだったか覚えていないんですよね。。
なぜ私が気づかなかった・気づいてもあまり大ごとだと思わなかったかというと、テレビ自体は問題なく見れるということと、そもそも普段テレビをほとんど見なかったからです。
その部屋に居住していた約半年間で、テレビをつけたのは年末に1度のみでした。
そしてテレビをつけている間はその傷はほとんど目えなくなりました。
なので私たちにとっては何も問題がなく、しかも「元々ついていた傷」だと思い込んでいたので、後で補償問題に発展するとも思わなかったんですね。
経緯2.引っ越し後に「テレビに傷がある」と問合せが…
というわけでテレビの傷など一切気にせず引っ越した私たちでしたが、部屋を貸してくださっていたオーナーさんのスタッフさんから「テレビにこんな傷があったんですが心当たりはありませんか?」と、この写真と一緒に連絡が来ました。
私は「うわぁ、近くで見たらこんなに傷ついてたのか」とちょっと驚きましたが、素直に元々あったあの傷だと思いました。
お恥ずかしい話ですが、居住中はテレビの表面を間近でしっかり見たことさえなかったんです^^;
で、このとき彼氏にも「テレビに傷あったの知ってる?」と訊ねたところ、「もちろん知ってるよ!あの部屋に入った時言ったじゃん。覚えてないの?」と言われ。
というわけで「これは元々あった傷ですよ〜」とスタッフさんにお返事しました。
その後スタッフさんにお会いする機会があって、彼氏がその傷を発見した時の状況を以下のように詳しく話しました。
・触ってみたら何だかネバネバしていた
・誰かが上から糊を付けたようだった
・糊は完全に乾いていたから、だいぶ前に付けられたものだと思った
へぇ〜一体だれがそんなことを…という感じで、このときの話は終了しました。
で、能天気な私は、この話はこれで終わったと思っていました^^;
経緯3.前の居住者が撮影した動画が出てきた!でも何故か傷がない…
その後もう一度スタッフさんから問合せがあったので、「この前お話しした以上のことは私たちも知らないので…私たちの前の居住者さんにも聞いてみたらどうですか?」と提案しました。
もし前の居住者さんも傷に見覚えがあったら、傷ができた時期を少なくとも半年間狭められるし、その時点でとりあえず私と彼氏は容疑から外れることになるからです。
その後、今度はオーナーさんから直接彼氏に電話があり、前の居住者さんがたまたま部屋の様子を詳細に撮影していたこと、そしてその撮影動画ではテレビに傷はなかったことがわかりました。
オーナーさんはその撮影動画も送ってくれましたが、画質が荒かったため、私から撮影者さんに連絡を取り、元のファイルを送ってもらって確認しました。
確かにぱっと見、テレビには全く傷がありませんでした。。
このときはもはや狐に包まれた気分でした。
何故私たちが住む直前に、誰が、一体、何の目的で???
合点がいかない私たち。
そこで彼氏が改めてパソコンで動画を詳細に解析してみたところ、ひと筋だけあの傷のようなものが写っている箇所を見つけました。
ただ、光の反射の可能性もあり、確実にあの傷だとは言い切れない程度。
しかもひと筋しか写っていないのもおかしい。
なんせ
この状態なわけですからね、、、^^;
でも同じ傷がなんらかの理由でひと筋だけ写った可能性もあるので、彼氏のパソコン画面の横に、スタッフさんに送ってもらったこの写真を並べてみました。
そしたらなんと彼氏が、驚いた様子で「俺が見つけたときはこんなにたくさん傷ついてなかったよ!」と言ったんです。
彼氏が部屋を移ってすぐ見つけたときは
これくらいの感じの傷だったらしいです。
こ、これは明らかにおかしい…
ここで二人して初めて、この傷が人為的なものではなく経年劣化である可能性に思い当たりました。
経緯4.原因は「polarizer film damaged」だった!
早速、同様の症状がないか二人でネット上を検索。
ところが日本語でも韓国語でも、こんな劣化の話は出てこず。
で、彼氏が英語で調べて遂に発見しました。
これは「polarizer film damaged」という劣化現象でした。
「polarizer film」は液晶テレビに使われている偏光フィルムです。
たとえばこちらのページでは、以下のような質問が投稿されています。
My 5 year old Sony LCD screens polarizing film is detaching day by day, causing wrinkles and air bubbles in the screen. Are you having a similar experience? Is there a solution for it?
5年使っている液晶テレビの偏光フィルムがだんだん剥がれてきて、スクリーンに皺や気泡が出てきたんですが、だれか同じ症状の人はいますか? 解決策を知りませんか?
傷の感じも、液晶自体は問題なく映る点も同じです。
そしてこちらのページは4年使用したテレビの同様の体験談。
彼氏が触った時にネバネバ感があったのは、フィルムが溶けて出た液体だったんですね。
さらに、解決策を掲載しているページやYouTube動画もたくさん出てきました。
BRING BACK SONY BX300 TV TO LIFE DIY REPLACING LCD TV POLARIZING FILM
何故かインドのソースが多かったです。
彼氏が推測するに、途上国で生産されている安価なテレビで起こりがちなのではないかと。
うーむ、真相はわかりません。。
とりあえず、原因がわかって二人してほっとしました。
この場合はあくまでオーナー責任の資産劣化にあたると思ったからです。
ところが事態は、私たちが思ったようにシンプルには進みませんでした…
経緯5.結局テレビを買い取ることに…
早速、我々が発見した「polarizer film damaged」の情報を、彼氏が写真やリンクをつけて丁寧に文章化し、オーナーさんに連絡しました。
それを受けてオーナーさんから「直接話したい」と打診があり、彼氏が話し合いに向かいました。
で、結果ですが、残念ながら私たちの過失ではないことは納得してもらえず、彼氏が5,000ペソで問題のテレビを買い取ることで決着しました。
何故こうなったか、彼氏からの又聞きですが、以下のような話の流れだったそうです。
原因が何であれ、私と彼氏の前に住んでいた人が撮影した動画により、傷が私と彼氏が住んでいたときにできていることは明らかである。
にもかかわらず、傷のことをオーナー側にリアルタイムで報告しなかったのも事実である。
よって過失責任は私と彼氏にある。
先方で「原因が何であれ」という文脈になってしまう以上、彼氏はこれ以上話し合っても平行線だと思い、5,000ペソでの買取を提案して、オーナーさんもそれを受け入れたそうです。
以上が経緯です。
なかなか残念な結果になってしまいましたが、ここからはこういったトラブルを「どうしたら回避できるか」を考察してみたいと思います。
回避策1:賃貸設備の不具合に気づいたら即オーナーに連絡する
これはもう、日本の賃貸でも当然行うべきことですよね。。
これを怠ってしまったのが私たちの最大のミスだったと思います。
ただ、言い訳がましいですが、私たちの場合はちょっと状況が違っていました。
まず私たちの部屋は、実はアパートの所有者と直接契約ではなく、間に別の契約者を挟んでいました。
つまり、大もとのオーナーAとオーナーBがまず契約しており、私たちはオーナーBと契約して部屋を借りていました。
今までの話に出てきているのもオーナーBさんの方です。
で、私と彼氏はこれまでオーナーBさんにとてもお世話になっており、いくつかお仕事を受ける代わりに、部屋をかなり安く借りさせてもらっていました。
そして、オーナーBさん側の都合で、1年半の間に2回、同じアパート内で部屋を移動しました。
つまり、これまでオーナーBさん契約の部屋に3種類居住してきたんですが、毎回何かしら不具合がありました。
最初の部屋はWIFIが全く繋がりませんでした。
2つ目の部屋はシャワーの水圧が恐ろしく弱い上、温水ヒーターが動きませんでした。
3つ目の部屋はトイレの水がほとんど流れないのと、入口のドアが閉まらず勝手に開いてしまう状態でした。
で、このうち私たちが改善を訴えたのは最初の部屋のWIFIのみでした。
WIFIは私が仕事上どうしても必要だったので必死に訴えて直してもらいましたが、それ以外の不具合は我慢できるレベルだったので我慢していました。
私たちの部屋以外でも何かしら不具合があるのは知っていたし、みんなある程度我慢しながら住んでいるのも知っていたからです。
そして何より、お世話になっているオーナーBさんやスタッフさんにお手間を掛けさせたくないと思ったのが一番の理由でした。
で、テレビの傷があったのは3つ目の部屋ですが、テレビの傷はむしろ私たちにとっては全く由々しくなかったので(トイレが流れないことの方がずっと大変でした)、それだけをオーナーBさんに伝えるという発想が出てきませんでした。
でもこれが結果命取りで、相手を気遣って何も言わないでいたつもりが、逆にそのせいでトラブルに発展してしまいました。
実際、テレビに関してはオーナーAさんからオーナーBさんに苦情がいって発覚したため、我々の気遣いはむしろオーナーBさんにとっても逆効果だったわけです。
今回の件で、オーナーさんとどういう関係性であっても、賃貸設備で何かあったときは必ずリアルタイムで報告すべきと痛感しました。
回避策2:長期滞在は直接契約にする
1と関連して、今回は大もとのオーナーAさんと直接契約していなかったことも、話を少しややこしくしてしまったなぁと感じました。
変に気を遣ってしまったこともそうだし、2者ではなく3者が主張を戦わせることになってしまった点もちょっと困りものでした。
私と彼氏は、テレビの傷は経年劣化によるもののため、私たちはもちろんオーナーBさんにとっても責任はないと考えていました。
なので私たちとオーナーBさんはディベートで言うとむしろ同じ側のチームだと思ったんですが、結果としては
オーナーA:経年劣化だろうと責任はオーナーBにある
オーナーB:経年劣化だろうと責任はそのときの居住者にある
という主張で、むしろオーナーAさんとBさんで共同戦線になってしまいました^^;
2対1よりは1対1の方がシンプルに話が進みそうなので、そういう意味でもやはり直接契約の方が安全だなと感じました。
ただ、交渉の場にもし私がいたら、他の経年が同程度の部屋のテレビのチェックや、家電バイヤーによる原因調査を求めたかもしれません。
回避策3:途上国ではテレビの劣化に注意する
経年劣化で偏光フィルムが剥がれてくるというのは、なかなかトラップ感があるというか、気をつけていないと気付きにくいやっかいな現象だなと思いました。
まず、少なくとも日本ではそんな現象はほとんど知られていないので、普段意識していない。
そして「だんだん」剥がれてくるので、テレビを見ない人にとってはタイムリーに気づきにくいし、タイミングの証明もしづらい。
まるでロシアンルーレットです。
自分がたまたま居住していた時に剥がれ始めたらアウト。
製品の品質以外にももしかしたら発生要因があるかもしれませんが、とりあえず今後もし途上国でテレビ付きの部屋を長期賃貸する場合は、偏光フィルムの様子に気をつけようと思いました。
特に4〜5年以上経過しているテレビや現地で安価に販売されているテレビが要注意です。
最後に:お金はともかくメンタルダメージを避けるために
弁償費が10万、20万とかになってしまうとなかなか辛いですが、5,000ペソ(約1万円)の買い取りで済むならそこまで痛い出費ではありません。
そしてもしテレビを新調することになっていたとしても、フィリピンでは液晶テレビも安いので、やはりお金はそんなに問題にはなりません。
ただ、やはり疑われるのは悲しいし、平行線の話し合いをするのもしんどいし、やっていないことを「やった」として何かしら行動しなければならないのも辛いものです。
もちろん私たちだけでなく、オーナーAさんBさん、スタッフさんにも心労があったと思います。
最悪お金を払えばなんとかなるとしても、こういう賃貸トラブルは避けられるなら避けるに越したことないなと痛感しました。
今後は上記回避策3つを肝に命じたいと思います。
そしてこの失敗談が、どこかで誰かの参考になったら嬉しいです!
ポジティブや。