フィリピンに移住して1年半が経ちました!chieです。
パンデミックにより国の行き来が難しくなって約半年。
海外で暮らしている日本人のなかには、今も究極の選択を迫られている人が少なくないと思います。
それはずばり、日本に帰るか、帰らないか。
今回は、今もフィリピンに住んでいる私の事例を通して、在外邦人がなぜこの選択を迫られているのか、そして私はどちらを決断したかを、理由もあわせて書いてみたいと思います。
同じ状況で迷っている在外邦人の方にいち事例として参考になれば嬉しいし、日本にいる方にも在外邦人がどういう状況に置かれているのかをなんとなく知ってもらえたら嬉しいです。
在外邦人が帰国を検討する理由
在外邦人がコロナ禍で帰国を検討せざるを得ない理由はたくさんあります。
以下、私が思いつく限りであげてみます。
理由1.感染が怖い
世界中がパンデミックで混乱中とはいえ、細かい状況は国によって異なります。
封じ込めにほぼ成功しつつある国もあれば、いまだ感染が増え続けている国も。
後者のような国に住んでいる場合は、感染を恐れて帰国を検討する在外邦人も多いでしょう。
ただし8月現在は日本も第2波に襲われているようなので、なかなか判断が難しいところかもしれません。
ちなみに私の住んでいるフィリピンは、2月〜3月時点では日本の方が感染者数が多かったのですが、4月以降はフィリピンが一気に増え、今はフィリピンの方がはるかに感染者数が多くなっています。
1日の感染者数はここ最近ずっと数千人規模を記録しています。
単純に数で比較するなら、まだ日本の方が感染のリスクは少ないかもしれません。
理由2.医療が怖い
日本より医療水準が低い国に住んでいる場合は、新型コロナウイルスに感染して重症化したときや、他の重い病気や怪我が生じたときに、ちゃんと病院にかかってしっかりした医療が受けられるのかが心配です。
もちろん、医療水準の高い・低いは今に始まったことではないのですが、今はパンデミックでただでさえ医療が逼迫しているうえ、急いで日本に帰って病院に行くことも難しい状況です。
さらに、新型コロナウイルスの治療費に対応している海外医療保険に入っていなければ、現地で高額な出費が発生してしまうリスクもあります。
このあたりの懸念で帰国を検討する人も多いのではないかと思います。
理由3.治安悪化が怖い
パンデミックが悪化の一途をたどっている国では、経済が逼迫し貧困層が増え、強盗や盗難などの犯罪が増える可能性があります。
また、国にもよりますがローカル層より移住外国人の方が所得が多い場合は特に狙われやすいとも考えられ、こういった不安から帰国を検討するケースもあるでしょう。
私の住んでいるドゥマゲテでは、今のところ盗難・強盗事件が増えている気配はありません。
理由4.国や自治体の感染症対策が不安
日本でも政府や自治体の感染症対策に対して「緩い」「過剰」などいろいろな意見があると思いますが、おそらく在外邦人の多くも、住んでいる国の対策についていろいろと思うところがあると思います。
たとえば私の住んでいるフィリピンだと、検疫ルールが二転三転しすぎだったり、科学的な見地に則っていなかったり、国民もルールに対してかなり不真面目だったりして、なかなか感染者数が減らない状態になってしまっています。
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やはり感染対策が機能しない国ほど終息も遅いと考えられ、自分の住んでいる国が日本よりも終息が遅そうな場合は、帰国が視野に入ってくるでしょう。
理由5.ビザが切れる
期間制限のあるビザで滞在している場合は、特別に許可などを得られない限り、その国を一度出ていかなければなりません。
ただ、コロナ禍では国の移動がなかなか難しいこともあり、特別に期限延長を認める国も多いようです。
ちなみに私も本来は1ヶ月で切れる観光ビザでフィリピンに滞在していますが、フィリピンの場合はもともと観光ビザが最長で連続3年まで延長できます。
そのため、移住外国人でも永住ビザなどはとらず、観光ビザを延長し続ける人が多いです。
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理由6.資金が尽きる
コロナ禍で失業したなど、収入がなくなってしまった場合は、現地での滞在資金が捻出できず、帰国せざるを得なくなるケースがありそうです。
理由7.ビジネスが成り立たない
もともとビジネス目的でその国に住んでいて、そのビジネスがコロナ禍によって成り立たなくなってしまい帰国するというケースもあるでしょう。
フィリピンでもフィリピン旅行やフィリピン留学、飲食店やその他さまざまなビジネスに大きな損害が生じていて、ビジネスを休業もしくは廃業して帰国する人たちが少なくありません。
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理由8.日本でしかできない用事がある
たとえば免許の更新、行政手続き、資格取得など、日本でしかできない用事のために帰国するケースもあると思います。
私の場合は、帰国しないことによって、クレジットカード付帯の海外旅行保険の更新とプライオリティパスの発行が滞ってしまっています。
私の用事は大したことないものですが、人によっては「病気の家族に会いたい」「税金の手続きをしないとけない」など由々しい事情もあるでしょう。
10万円の特別定額給付金も、(日本の住民票を抜いていなくても)海外からでは申請できない場合が多いようです。
私が帰国をためらう理由
さて、在外邦人が帰国を検討せざるを得ない理由を8つもあげましたが、それでも私は帰国をためらい続けました。
理由は大きく4つあります。
理由1.帰国するとしばらく日本を出られなくなる
フィリピンを含む多くの国が、今なお観光目的での入国を許可していません。
つまり、一度日本に帰国してしまうと今度いつフィリピンに戻れるかわからないし、さらには日本を出ること自体難しい状態になってしまいます。
数ヶ月くらいなら仕方ありませんが、コロナ禍はいまだ終息の見込みが立っておらず、数年単位で日本から出れなくなる可能性もあります。
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海外に生活基盤をもつ人(日本に生活基盤をもたない人)にとっては、「いつ日本を出られるかわからない」という状況はかなりハードルが高いです。
私も現在日本に生活基盤はなく、今後もしばらく日本で生活する予定はなかったため、これが帰国をためらう最大の理由になっています。
理由2.フィリピンの暮らしが気に入っている
理由1にも関連しますが、数ヶ月日本や別の国に滞在するくらいならいいとしても、何年もフィリピンに戻ってこれないというのはかなりつらいです。
それほど、フィリピンでの今の暮らしが気に入っているということだと思います。
フィリピンはいまだ感染が急増し続けていて、経済も逼迫しかなり見通しが暗い状況ですが、そのデメリットを冷静に認識したうえでも、やっぱり「できればこのままここにいたい」と思ってしまいます。
理由3.帰国そのものが大変すぎる
私が住んでいるドゥマゲテから日本へ行くには、まず国内線でマニラかセブに行く必要がありますが、フィリピンではいまだ州を越える移動が制限されていて、ドゥマゲテ発着の国内線は基本的に飛んでいません。
7月時点では、マニラからドゥマゲテに帰郷したい人たちのための特別便(スイーパーフライト)だけ飛んでおり、マニラ経由で帰国したい外国人もこの便に乗ることができました。
しかし、8月にマニラの防疫措置が強化されてからは、そのスイーパーフライトも中止されています。
おそらくまた復活するでしょうが、とにかく便の欠航や変更が多く、せっかく航空券を買ってもキャンセルになってしまうケースも多いようです。
また、国内線と国際線に乗るための手続きや必要書類もコロコロと変わり、情報を把握するだけでも大変です。
地域によっては書類集めだけで1週間くらいかかってしまうこともあるとか。
さらに、帰国してから2週間の隔離生活が必要な点もネックです。
国際空港から公共交通機関の利用もできないため、地方住みの場合は空港近くのホテルで隔離になり、その費用負担も発生してしまいます。
私の周りでもこれで苦労している日本人は多いです。
理由4.彼氏と再会の目処が立たなくなる
私はフィリピンで韓国人の彼氏と同居していますが、フィリピンを出るとお互いの国に帰ることになり、その後フィリピンにいつ戻れるかわからないため、いつ再会できるかもわからなくなってしまいます。
また、日本と韓国はもともとお互いにビザを免除し簡単に行き来できる国でしたが、現在は両国ともビザの発行が必須になっているうえ、入国時はやはり2週間の隔離が必要です。
私のような理由でビザがおりるかもわからず、行き来は実質不可能に近いと考えています。
これも数ヶ月とかであれば何も問題ないのですが、「いつ再会できるかわからない」というのが一番のネックです。
私が下した決断は「帰国しない」
ここまで書いてきた通り、やはりコロナ禍でのフィリピン滞在はいろいろとリスクが大きく、私もかなり真剣に帰国を検討しました。
しかし、現時点ではいったん「帰国しない」という決断をしました。
私なりの基準で「帰国しないデメリット」と「帰国するデメリット」を総合的に天秤にかけた結果なのですが、一番大きかったのはやはり「数年間日本を出れない(かもしれない)」という点です。
正直、こんなにフィリピン生活を気に入っているとは自分でも気づいていませんでした。
私はフィリピンにいると、いろいろリスクがあるとわかっていても、それも含めてなぜかホッとする部分があります。
フィリピンでは人も動物も何も管理されていなくて、誰もがいつ死んでもおかしくないような雰囲気を醸しています。
とてつもなく貧しいんだけど、それでいてどこか幸せそうで、身体中から正気が溢れているように(私には)見えます。
自分勝手な話ですが、そんな世界に外国人としていさせてもらうだけで、なんだか自分も「生きているなぁ」と実感できるんですよね。
だからこそフィリピンでの生活が好きだし、それ以上にフィリピンで生活している自分が好きなんだと思います。
この感覚を数年間も味わえなくなるとしたら、それは私の人生にとって大きすぎる損失だと思いました。
日本でこの感覚をなんとか維持できないかとも考えましたが、維持できるイメージがどうしても湧きませんでした。
むしろ今の自分を失ってしまうのではないかという恐怖の方が大きいというのが正直なところです。
これは環境の問題というより、私自身の問題な気がします。
どうせいずれ死ぬなら、好きなことをやっている時間と、自分を好きでいる時間を1秒でも長くもちたい。
この思いが決め手になって、「フィリピンに残ろう」と決断しました。
とはいえ、こんな悠長なことを言ってられないくらいフィリピンの状況が悪化したら、そのときは問答無用で帰国します^^;
引き続き状況を注意深くウォッチしていこうと思います!
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