フィリピン留学 コロナ 展望

コロナでフィリピン留学はどうなる?フィリピン在住者の視点で展望を考察してみた

フィリピン在住フリーランスのchieです。

世界最長と呼ばれるロックダウンを実施中のフィリピンですが、マニラ首都圏は8月3日から再び、上から2番目に厳しい検疫措置「MECQ(modified community quarantine)」に置かれました。

私のいるドゥマゲテも、いまだ州を越える移動は難しく、コロナ禍の混乱はまだまだおさまる気配がありません。

そこで個人的にも気になっているのが、フィリピン留学は今後どうなるのかです。

コスパの良さを武器に日本人の間で人気を博していたフィリピン留学。
これから行くつもりだった人は特に、いつになったらフィリピンにまた留学できるようになるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

今回は、コロナ禍を現地で過ごしている在住者の視点から、フィリピン留学が今後どうなっていくかの展望を考察してみたいと思います。

ただのイチ在住者の予想ではありますが、現地にいるからこそ見えていることもあると思うので、どこかで誰かの何かの参考になれば嬉しいです!

私自身、4年前のフィリピン留学とインターン経験が、今のフィリピン生活を築くきっかけになったこともあり、フィリピン留学に対しては特別な思い入れがあります。
本音は1日も早く復活してほしいと思いつつ、この記事では現状を踏まえて冷静に考察してみたいと思います。

フィリピン留学が復活するための条件は?

フィリピンでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、学校機関での対面授業は原則として禁止、観光・留学目的での外国人の入国もできない状態が続いています。

そのため、フィリピンの語学学校はどこも休校中(オンライン授業のみ実施の場合あり)の状態です。

再びフィリピン留学ができるようになるには、まずフィリピン国内で

  • 対面授業の許可
  • 観光・留学目的の入国の許可

の2つがおりる必要があります。

復活条件1:対面授業再開の展望

まず対面授業の再開について。
ドゥテルテ大統領はこれまでに度々、「子どもたちが有効なワクチンを接種できるようになるまで学校の対面授業は再開しない」という方針を表明しています。

学校教育について、感染者数の少ない地域に限り、通信授業と対面授業を併用するかたちの学校再開を検討していたが、「学校での感染拡大を警戒しているため、ワクチンが手に入るまで再開を見送る」とした。
日本貿易振興機構ジェトロビジネス短信(2020/08/03)

これは現地の小・中・高に関する方針ですが、語学学校などほかの学校機関にも踏襲される可能性があり、一つの参考情報として押さえておく必要があると私は考えています。

 

一方で、ドゥテルテ大統領は「ワクチンが手に入るのはそう遠い未来ではない」とも予測しています。

大統領は「神の恵みによって、12月までに事態が正常に戻ることを約束します」と表明しました。
彼は中国開発のワクチンがいち早く入手できる可能性も付け加えました。
INQUIRER.NET(2020/07/31)

この意見表明は各方面から「楽観的すぎる」と批判も受けているようですが、少なくともドゥテルテ大統領の中では「年内に有効なワクチンが接種できるようになり学校も再開できる」という青写真が描かれているようです。

 

では我々としては、まず本当にこの青写真通りに事が進みそうかを検証する必要があります。
ここで重要になるのがワクチン接種の実現可能性です。

ドゥテルテ大統領はワクチンの入手先として中国を最有力候補とし、実際に中国開発ワクチンの提供を優先的に受ける約束を取り付けています。

中国外務省の汪文斌副報道局長は28日の会見で、フィリピンのドゥテルテ大統領が中国に新型コロナウイルスのワクチン供給を要請したとの発言に関して、ワクチン開発に成功すれば優先して供給する方針を明らかにした。
アジア経済ニュース(2020/07/30)

 

となるとポイントは、

  • 中国でのワクチン開発が本当に年内に進むか
  • 中国からどれくらいの優先提供を受けられるか

になります。

私はワクチン開発について全く知識がなかったため、解説記事をいくつか読んでみました。
その結果、真に有効なワクチンが普遍的に摂取できるようになるまでには、一般的に数年単位の時間がかかるというコンセンサスを得ました。
※私の主観に基づく情報収集とコンセンサスであり一般論ではありません

こちらの記事が特に参考になりました。
WIRED「新型コロナウイルスのワクチンは、いつできる? ──基礎から最新事例まで知っておくべきこと」

さらに、現在各国・各企業で急ピッチで進められているワクチンは主にRNAワクチンとDNAワクチンで、ワクチンの運用史上最も安定的と考えられている不活性化ワクチンや弱毒化ワクチンではないことも認識しておく必要があるでしょう。

参考:新型コロナウイルスワクチンの開発に係る取組み – 厚生労働省

 

これらのことから、もし年内にフィリピンでワクチン接種が可能になるとしたら、世界的に認可を得る前の中国開発ワクチンの大規模治験としてであればあり得るかもしれないと考えています。

また、ワクチンの有効性と安全性が証明されるまでにも時間がかかりますが、その後の大量生産と運用のスケジュールも見込んでおく必要があります。
当然、最初から全国民に行き渡らせることは難しく、医療従事者など要職から優先接種するなどの施策が予想されます。

パンデミックを現実世界に忠実に映像化した映画「コンテイジョン」で、ワクチンの奪い合いや、人々にどう公平に接種していくかの検討過程が描かれています。
フィクションではありますがこの先をイメージする上で参考になりおすすめです。

 

そして、仮にもしいち早く「ワクチン接種者のみ対面授業OK」になったとしても、そのために自分が本当にワクチンを接種すべきかどうかは、また別で検討が必要でしょう。留学したいあまり、有効性や安全性を考慮せず闇雲にワクチンを接種してしまっては、そもそも健康を維持するためのワクチン接種なのだから、本末転倒になってしまいます。

 

繰り返しになりますが以上のことから、私は真に有効なワクチン接種ができるようになるのは(フィリピンにかかわらず)数年先になると予測しています。
※あくまで個人的な予想です

 

ただ一方で、ドゥテルテ大統領が方針を撤回しワクチン接種なしで学校を再開する可能性もあると考えています。

ドゥテルテ大統領は「人命と違って教育は後からでも取り戻せる」と発言していますが、個人的にはこれもかなり楽観的な見解だと思います。
現実は、休校が長期化するほど教育の取り戻しは難しくなるはずで、もし数年単位続けばおそらく「失われた世代」として将来のフィリピンに深刻な影響を及ぼすでしょうし、国内外からも批判の声が高まるでしょう。

パンデミック以降、フィリピン政府の政策は二転三転し続けています。
この件についても方針が変わる可能性は十分考えられます。

復活条件2:外国人入国許可の展望

これはかなり予想が難しいところです。。
現地の学校さえワクチン接種まで再開しないと言っているのですから、水際対策として最も重要な海外からの入国は、やはりワクチンができるまで制限され続けると考えるのが自然かもしれません。

ただ、フィリピンの経済事情として、観光収入への依存度が世界的にみてもかなり高いという現実があります。

フィリピン 観光産業 依存度
出典:World Travel and Tourism Council Data(2018)

 

どの国にとってもインバウンド観光を閉じ続けるのは経済的に損失ですが、フィリピンは特にダメージが大きいということです。

こういった経済事情から、やむにやまれず観光ビザ発行を解禁する可能性はあるかもしれないと考えています。

ただ、これもワクチンと同じで、フィリピン側がOKを出したからといって、実際に行くべきかどうかはやはり別で検討すべきでしょう。
「政府がOKを出す=安全が保証される」ではないことを認識したうえで、自分自身で感染リスクを判断する必要があります。

もちろん、日本側でも帰国時の隔離措置などが課せられる可能性も踏まえなければなりません。

そもそもフィリピンの新型コロナウイルスはいつ終息する?

ここまでフィリピン国内での規制緩和に焦点をあててきましたが、留学を検討するうえでは、そもそもフィリピンで新型コロナウイルスがいつ終息するのかが重要です。
そこについても自分なりに考察してみたいと思います。

まず、「コロナの終息」を「感染者がいなくなる」だと定義してみます。
これはもう、フィリピンどうこうではなく、世界的に不可能かもしれないと私は考えています。

これも感染症素人の私が自分なりに調べたうえでのコンセンサスでしかないですが、かつて封じ込めに成功したSARSなどと比較すると、新型コロナウイルスはすでに世界中に広がりすぎてしまっています。

変異を繰り返す可能性も踏まえると、2009年に流行しそのまま定着してしまった新型インフルエンザのような存在になる可能性も十分あると考えられます。

この予想が外れる可能性ももちろんあり、その方が喜ばしいですが。。

次に、ぐっとレベルを下げて、「コロナの終息」を「外出制限なしで生活できるようになる」だと定義してみます。

たとえば、日本や韓国ではwithコロナを前提とした「新しい生活様式」が提唱されています。
ウイルスを撲滅するまで経済を止め続けるのではなく、感染を最小限に抑えながら普通に生活していくためのガイドラインです。

参考:新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました(厚生労働省)

※世界的には他にも集団免疫作戦などが一部で唱えられています。私は実現可能性は低いと見込んでいますが、今回はその理由説明は割愛します。

フィリピンも、withコロナ前提の終息を目指す場合は、こういった新しい生活様式への移行が必要と考えられます。
具体的には、手洗い・換気・ソーシャルディスタンスの徹底、リモートワークの推進などです。

 

しかし、いま日本で再び感染が急増していることからも、新しい生活様式への移行もなかなか難しいことがうかがえます。
台湾や韓国などはかなり成功しているようなので、そういった成功事例を参考にしつつ、今後も波を繰り返しながら少しずつ定着していくのかもしれません。

 

ではフィリピンはどうか。
これが、フィリピンではさらに難しそうというのが個人的な見解です。
以下理由を書いていきます。

1.貧困層の存在と衛生環境の悪さ

フィリピンは近年急激な経済成長を遂げていますが、国内の経済格差は依然大きく、まだまだ貧困層が多い国です。

水道や電気など日本人にとっては当たり前のインフラも全家庭に行き届いておらず、石鹸で手を洗うことすらできない家庭も少なくありません。
リモートワークどころじゃなく、外出できない=飢えに直結してしまう環境です。

人が密集しているスラムや刑務所も、度々クラスターが発生して問題視されています。

こんな状況で「新しい生活様式」と言われても、現地の貧困層にはファンタジーのようにしか聞こえない気がします。

2.医療費の高さと質の低さ

感染者数を抑える主目的は医療崩壊を起こさないことですが、フィリピンの場合は医療自体にそもそも難点があります。

病院によるところもありますが、日本の医療と比較すると、フィリピンで受けられる医療は一般的に質が低いと言わざるを得ません。
設備、技術、その他オペレーション全般にいい加減なところが多く、コロナでも重症化した際にはかなり不安があります。

また、重症化した際の治療費があまりに高額なこともネックになっています。

例えばアラバンの私立病院で1週間治療を受けた60歳の患者は、合計で140万ペソの医療費が発生したとのことです。また、これまでで最も高額だった新型コロナの治療費は、約320万ペソとの情報もあります。
フィリピンプライマー「【フィリピンで新型コロナウイルスに感染したら?】入院事例や治療費などを解説いたします!」

140万ペソは約300万円、320万ペソは約690万円です。
このように費用が高額なため、罹患が疑わしくても病院に行けない人がかなり多いうえ、罹患者数の実態も把握しにくいと言われています。

3.OFWという特殊事情

フィリピンはOFW(Overseas Filippino Workers)という海外出稼ぎ労働者が国民の10%を占め、さらにOFWからの送金がGDPの10%を占めている特殊な国です。

そのOFWたちがコロナ禍によって海外で職や居場所を失い、今後も大量にフィリピンに帰国してくることが見込まれています。
また、すでに海外でコロナに罹患しているOFWは2,000人以上、死者は300人近くにのぼっていて、たくさんのOFWたちが今も海外で感染危機にさらされていることがうかがえます。

この事情がフィリピンの水際対策をひときわ難しくしています。

4.行政のいいかげんさ

フィリピンではかなり早い段階からロックダウンが実施され、厳格な外出規制が課されてきました。
しかし、現地にいる人なら誰もが実感していると思いますが、取り締まる側も守る側もかなりいいかげんです。

そもそもルールが二転三転したり、手続きが煩雑すぎたりすることが多く、「ルールを守りたくても守れない(守る側がバカをみる)」という状態がデフォルトになってしまっています。

 

防疫対策も理屈が通っていないものが多く、たとえばバイク二人乗りに関しては

  • 同居しているカップルのみ可
  • ドライバーと同乗者の間にシールド設置必須

という謎のルールが実施されています。

そもそも換気十分の向かい合わないバイク移動でシールドがどれほど有効なのかという疑問がありますが、それ以前に、そもそも普段同じ家で一緒に過ごしているカップルをなぜバイクに乗るときだけシールドで隔てる必要があるのかというのが最大のツッコミどころです。
そして単純に危ない。走行の邪魔。

 

ウイルスが人から人に移るメカニズムも、あまり真っ当に認知されているとは思えません。
ちょっと街なかに出るだけでも、たとえばマスクの着用意図や方法からして、多くの市民には正しく伝わっていないことが見てとれます。

 

以上のような理由から、私はフィリピンでwithコロナ前提の終息を迎えられるのは相当先になってしまうのではないか(ワクチンの方が早いのではないか)と予想しています。

実際、フィリピンはロックダウンを続けているにもかかわらず、国内の感染第一波がいまだ収まりきらず急増し続けている状態です。

フィリピン 感染者数 推移
worldometers

 

この背景には、やはり国内にそもそもロックダウンを機能させられる土壌が育っていないことが大きいと私は考えています。

 

コロナ禍によって国境を越える行き来ができなくなり世界が分断されましたが、ベトナムやニュージーランドなど、国単位では封じ込めに成功しつつあるケースも出てきています。
今後は封じ込めに成功した国同士の移動から解禁されていくのかもしれません。

しかしフィリピンの場合は、もしこのまま変われなければ、かなり最後の方まで行き来が解禁されない国の一つになってしまうのではないかと懸念しています。

結局フィリピン留学が再開するのはいつ?

ここまで長々と書いてきましたが、結論として、フィリピンに安定して留学できるようになるのは真に有効なワクチンが世界中に行き届いてからになると私は考えています。

具体的には、早くて1〜2年、長くて5〜6年くらいを見込んでいます。

繰り返しますがあくまで個人的な予想です。
外れてくれた方が嬉しいです。

とはいえ、どんな夜も必ず明けます。
このままずっと留学できないということはさすがにないと思っています。

フィリピン留学はまた盛り上がる?

私はコロナが終息しても、フィリピン留学がコロナ前ほどの盛り上がりにすぐ戻ることはないかもしれないと考えています。

今回のコロナ禍によって、いくつかの学校では留学生の間で対応に不満が生じ、なかには訴訟に発展しているケースもあるようです。

有名で評判のよかった学校でも問題が起きていることから、フィリピン留学全体の評判が下がってしまった面もあると考えられます。
また、今回のコロナ禍のような予期せぬ事態が起きたときに、フィリピンという国はやはり怖いと考えるようになった人も多いかもしれません。

 

これは個人的な思いですが、もしフィリピン留学が再開できても、語学学校はコロナ禍の対応の振り返りをきっちり行ったうえで対策をとってほしいなと思います。

今回のコロナ禍はほとんどの人にとって予測のできない出来事で、政府の方針もコロコロと変わるなか、常に最適な判断をすることは限りなく難しかったと思います。
おそらく学校側にとっての最適解は、いち早く休校を決断して新規受け入れを停止し、既存生徒の帰国支援をすることだったと思いますが、学校側もビジネスなので判断は相当難しかったでしょう。

それでも、情報収集と判断を適切に行えた学校もゼロではなかったことを踏まえると、しっかりと対策することでリスクを最小限に抑えられる可能性はあります。
「コロナのせいで仕方なかった」で終わるよりは、この経験をしっかり反省し、次に生かして成長できる学校の方が、長い目で見て留学生の信頼を得られるように思います。

一方で、留学生側も、学校やエージェントからの情報提供をただ待つのではなく、主体的に情報収集していくことが重要だと思います。
学校やエージェントにもやはりビジネスとしての事情はあるし、最終的に留学を決断するのは留学生自身であって、予期せぬ事態が生じてもそれを全て学校やエージェントのせいにすることはできないからです。
学校やエージェントと対等な交渉をするうえでも、主体的な情報収集がとても重要になってくると思います。

 

最後にもう一つ見解を述べます。
最近は「わざわざ留学しなくてもオンラインで十分」という意見もよく目にします。

確かに、英語を学ぶこと自体は日本でもできるし、学校に行かなくても自宅でもできます。
ただ、留学を希望する人のなかには「英語を学ぶ」以外のことを求める人も多いのではないかと私は考えています。

具体的には、海外での生活や文化体験や、背景の異なるさまざまな人たちとの出会いです。
これらはオンライン英会話では代替できないため、やはり今後も留学ニーズはありつづけるのではないかと思います。

 

フィリピン留学の最大の優位性は「コスパ」でした。
安い割に英語教育の質が低くなく、アクティビティやボランティアなどの現地体験もたくさんできる。
この優位性を維持して信頼を回復できれば、そのときにはまた盛り上がるんじゃないかと思います。

先にコロナ封じ込めに成功した物価の安い国が、フィリピン留学ニーズ層をごそっと持っていく可能性はあるかもしれません。
マルタ留学あたりかな…?

私は、フィリピン留学に思い入れがあるからこそ、できればこのまま衰退するのではなく、コロナを経て成長して復活してほしいと願っています。
そのときを待ちつつ、これからも現地でフィリピンの動向を自分なりにウォッチしていこうと思います。