デザイン センス

デザインはセンスがなくても理屈でできる(参考書はたった一冊)

在宅リモートワーカーとしてデザイン・ライティング・動画編集などを請け負っています、chieです。

世の中にはいろんなクリエイターがいますよね。
絵が描ける人、曲をつくれる人、小説が書ける人、振り付けができる人。

私はずっと、こういう人たちは幼少時から特別な訓練をしてきたか、天から与えられた特別な才能を持っているんだろうと思っていました。
一言でいうと「センスがある」ってやつです。

で、私にとって「デザインができる人」も同じでした。
デザイナーという職業に就けるのはきっと、人類の中のほんの一握りの、センスの塊みたいな人たちだけなんだろうなぁと。

そんな私は、自他共に認めるクリエイティブセンスゼロ人間。
絵もまったく描けないし、部屋のインテリアとかぐちゃぐちゃだし、「オシャレだね」とか言われたこともないです。

それでも、なんとデザインで収入を得ることができました。
その理由はずばり、デザインのセンスじゃなくてデザインの理屈を学んだから。

そこで今回は、デザインセンスゼロの私が理屈でデザインを仕事にできた方法を紹介したいと思います。

かつての私のように「在宅で仕事してみたいけどセンスないからデザインは無理だな…」と思っている人とか特に、参考にしてもらえたら嬉しいです!

ちなみに私が請け負っているデザインのジャンルは主にDMやチラシなどのエディトリアルデザインですが、この記事で紹介する理屈はWebデザインやプレゼン資料デザインなどにも共通する部分が多いと思います。
chieのデザイン事例はこちら

<前提>オシャレなデザインの前に「見やすいデザイン」を目指す

世の中では「良いデザイン=オシャレなデザイン」と思われている節があります。

でもそもそもの話、「オシャレ」の概念って結構曖昧じゃないですか?
国や世代、TPO、そして個人の好みによっても変わってきます。

その曖昧さを「センス」というパワーワード一言で片付けている場合が多い気がするんですよね^^;

なので私はいったん、「良いデザイン=見やすいデザイン」と定義することから始めました。
「オシャレなデザイン」と違って、「見やすいデザイン」だったらある程度理屈で説明できるんです。

ここからは早速、見やすいデザインをつくる上で私が最も重視している3つの理屈を解説します。
そして最後に、それらの理屈がすべて具体例で学べるおすすめの参考書1冊を紹介します。

見やすいデザインの理屈1:ターゲットに最適化されている

世の中のすべての商業デザインには、そのデザインの受け取り手(ターゲット)が存在します。

電車に掲示する栄養ドリンクの広告だったらサラリーマン。
キャラ弁のレシピ集だったら低学年の子を持つ親。
予備校の教科書だったら受験生。
etc.

こういったターゲットの年齢や性別、状況、ライフスタイルなどによって見やすいデザインは変わってくるので、デザインをターゲット側に合わせて調整することが必要です。

例えば、年齢層が幼児や高齢者であれば書体のサイズは大きくする。
時間のない中流し読みしてもらうなら文字数は減らしてキャッチコピーだけ目立たせる。
etc.

こうして書くと当たり前のことに思えますが、意外とこの基本が蔑ろにされている事例は多いです。
見やすさを「相手」ではなく「自分」基準にすると失敗しやすいように思います。

デザインに取り掛かる前に、まずターゲットのイメージをしっかり掘り下げる作業が大事だと思っています。

見やすいデザインの理屈2:情報の階層がはっきり分かれている

仕事でデザインのやりとりをするとよく、「どこから見ていいのかわからない」「なんだかメリハリがなくて見づらい」といった指摘が出てきます。
これは情報の階層が不明確なまま並べられているからだと思います。

例えば同じ文章要素でも、「タイトル」「リード文」「本文」「キャプション」など、内容によって種類が分かれてきます。

階層としては「タイトル>リード文>本文>キャプション」の順になるべきですが、書体やサイズ、色などが不適切だとその順位が受け手に伝わりません。
これはグラフィック要素でも同じです。

階層を明確にするには、「情報が明らかに階層になっている」と、読まずとも視覚で伝わるレベルで差別化するのが有効です。

見やすいデザインの理屈3:トーン&マナーが設定されている

自分のデザインを受け手にどのように伝えたいかによって、使うべき書体や色やグラフィックが変わってきます。
書体で言うと、例えば「可愛く柔らかい雰囲気で伝えたいなら丸ゴシック体」「伝統的で信頼感のある雰囲気を伝えたいなら明朝体」など。

色もそれぞれ印象を持っていて、「情熱や興奮を伝えたいなら赤」「清涼感や落ち着きを現したいなら青」など、イメージに適した色を使うことで見やすいデザインの手助けになります。

逆にこういったトーン&マナーと伝えたい印象がちぐはぐになると、そもそもターゲットに興味をもってもらえなかったり、見てもらえても誤解を与えたり「見にくい」と思われてしまう可能性があります。

初心者はまずこの3つの基本理屈をひたすら実践すべし

私は決しておしゃれなデザインでヒットを連発できる売れっ子デザイナーとかではありませんが、初心者がデザインで仕事を得るまでの過程は自身で体験しています。

そんな私の経験上、たとえ「センス」と呼ばれるものを持っていなかったとしても、この3つを実行するだけで最低限「見やすいデザイン」がつくれます。

もちろん、デザインの要素には他にも、グラフィックの使い方とか装飾の技法とか色々あるんですが、それらは基本の「見やすいデザイン」を踏まえた状態で上にまぶしていくものだと私は思っています。

そして「見やすいデザイン」の経験をある程度積めば、少なくともクラウドソーシングサービスでデザイン業務を受注することは可能です。
実際私が可能でした。

さらに、見やすいデザインを実践していくなかで徐々に、「こうしたらもっと今ドキっぽいんじゃないか」「こうしたらターゲットはオシャレに感じるんじゃないか」といったアイデアが湧くようになってくると思います。

天賦の才能とは違うけど、こうして実践で身についていくアイデア力が「センス」として世に認められていく面もあるのかもしれないですね。

デザインの理屈の参考書はこれ1冊でOK!

実は私が「見やすいデザイン」の理屈を学べたのは、自分で独学したわけではなく、デザイン会社で11年働いていたからです。

ディレクター職だったので直接デザインをすることはありませんでしたが、プロのデザイナーの仕事を間近でずっと見ているうちに、社内でシェアされていたデザインの工夫やコツを自然に学ぶことができました。

で、実はこのナレッジは今や、既に社外に向けて広くシェアされています。
私が働いていたデザイン会社のデザイナーさんが、1冊の本にまとめて世に送り出してくれたからです。

それがこちら。

ザ・名著です。
自分がいた会社の人が書いたからとかではなく、客観的に読んで心底名著だと感じます。

実際、2019年8月時点で20刷、10万部突破の大ヒット書籍になっています。
発行は既に4年前ですが、理屈の部分は今でも十分通用します。

この本では、先に解説した3つの理屈についても「じゃあどうすれば階層分けが明確になるのか」「自分のターゲットにはどんな色や書体が適しているのか」などの具体的な方法がふんだんに紹介されています。
私自身、今もこの本を参考にしながらデザインの仕事をしています。

そしてこの本の最大のおすすめポイントとして、とにかくわかりやすい!
小難しい話が一切出てこないのがとても有難い。(私は読書が苦手です)

本自体がまさに「良いデザイン」の実例になっていて、ページをめくっていくだけで視覚的・感覚的に理屈が理解できると思います。

デザインを理屈で学びたい人に心からおすすめできる1冊です!

最後に:「まぶし」の理屈を学ぶならこの本もおすすめ

デザイン書籍は本当にたくさんありますが、個人的には入門書としては「なるほどデザイン」1冊で十分じゃないかと思います。
本から情報を得るのが得意な人はたくさん読むのもいいと思いますが、私は読書が苦手なので量を読んでも頭に入らず疲弊してしまいがちです^^;

ただ、基本の理屈がしっかり頭に入って、さらにクオリティを高めるために「まぶし」の理屈(装飾の技術など)が知りたくなったときは、「なるほどデザイン」著者が中心になって執筆されたこちらの「うっとりあじわいじっくりデザイン」もおすすめです。

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